実家のナツメ畑
12月初めの帰省時、実家のナツメ畑をみてきました。
住まいからは少し離れた所にあるので、お散歩しながら故郷を感じる時間です。
事故に遭ってから体力的に余裕がなかったので、ここ数年は収穫せずに放置プレイの畑。
細い木が数本ありますが、数年分のストックを得られるほど毎回たわわに実ってくれます。
今年も豊作だったようで、落ちた実が絨毯のように広がっていました。
漢方や薬膳を学んでから、ナツメの有難みを知った私。
子供の頃、旬になるとフレッシュな果実を木からもいでは、ほおばり(笑)
姫リンゴに似た甘酸っぱさと、シャキシャキした食感を楽しんだものです。
またオヤツにはナツメの甘露煮。
母が言うには、昔、地元の土産品にナツメの甘露煮があったとか。
そんな暮らしの中に、アタリマエにあったナツメですが
それが何なのか?まったく氣にとめていませんでした。
アタリマエにあるものに目を向ける機会は、それを失った時だったり
または別の世界に足を踏み入れた時におとずれますよね。
美味しそうに見えるのに・・・
この真っ赤な実はすっかり収穫時を逃しています。
残念ながらボケたリンゴのような味(^-^;。
水分が減り、しなびてヘナヘナ状態です。美味しそうに見えますよね!?
一応、口に入れて確認してみましたが・・・やっぱりマズっ!!
今年はこのままにしておいて、来年よろしくね~。
ところでナツメって?
ナツメと言えば、参鶏湯(さむげたん)に使う、赤い実といえばお分かりになる方も多いでしょうか?
丸鶏に、もち米や高麗人参やナツメなどの生薬をいれて煮込む料理ですが、
韓国や中国では食材として料理や菓子など頻繁に使われています。
茶道をたしなむ方にとって
「ナツメといえば・・・」
抹茶を入れる茶器として知られているようです。
茶器と果実の形が似ているから名付けられたそうですが、
お友達の茶道家に乾燥ナツメをプレゼントしたところ、実物を初めて見たそうでとても喜んでおられました。
「一日三個のナツメを食べると生涯若く見える!」
中国の諺にあるほど滋養強壮食品として有名です。
乾燥したナツメは、生薬名を大棗(たいそう)と呼ばれ
「大棗をつかわない漢方医はいない」というほど様々な漢方薬に使われ
漢方の勉強をし始めたころ、市販の漢方薬の成分表に「たいそう」を発見しては
ほくそ笑んだものです(笑)
身近なところでいうと、葛根湯にも入ってますよ。
ナツメは脾胃などのはたらきを丈夫にして氣血を補い、心を穏やかにする滋補薬とされるので
胃腸虚弱や氣力不足、貧血、不眠、子供の夜泣き、ヒステリー、更年期障害などの処方にも使われています。
私も事故の治療で出されたお薬に必ず使われていましたし、心身ともに疲れを癒してくれる優れた果実ですね。
ナツメの効能とまとめ
生薬名:大棗(たいそう)。和名:ナツメ
- クロウメモドキ科の落葉樹。
- 薬用部分:果実
- 味性:甘/温。帰経:脾胃。/補中益氣、養血安神/
- ナツメとネギ・魚との食べ合わせは腰痛、腹痛を起こすといわれる。
- 和名のナツメは夏に芽が出る(夏芽)に由来。オオナツメとも呼んでいた。
- 原産地は中国。(南ヨーロッパからアジア南部説もあり)
- 世界でも広く栽培され400種類以上の品種がある。
- 日本への渡来は奈良時代以前。古くから栽培され万葉集の歌にもみられる。現在は、長野、富山、岐阜、東北地方、瀬戸内海岸地域に残る。
- 乾燥させて食用や生薬としても用いられてきた。
- 日本では庭木の扱い。実ってもあまり食用にはしない。
漢方にドはまりしたキッカケ
私のオヤツが生薬だったなんて、かなり衝撃でした(@ ̄□ ̄@;)!!
しかも唯一知っていた葛根湯に配合されていたとは。。。
それから、ナツメに対する扱いが激変!!!(げんきんな性格です)
漢方薬に親近感をもち、もっと知りたくなりました。
今思うと、漢方の世界にドはまりしたキッカケはナツメです。
それ以来、毎年稲刈りの時期にはナツメも収穫して
乾燥させたり、ジャムや甘露煮、ナツメ酒などに加工しては体調や体質に合わせて活用しています♪。
自然に準えた暮らし
数年前、実家の近くでナツメの大木が切られていました(;_;)/
庭木の扱いで実っても放置されていますが、氣軽にお医者さんに行けなかった時代には
きっと薬としても使われていたのかもしれませんよね。
時代とともに見向きもされない存在となっているのが、とても残念です。
活用するには手間暇かかるので、なにかと忙しい現代では難しいことかもしれません。
収穫したものを加工して保存し、活用するという自然界に準えた暮らし自体が
とても優雅で贅沢だと感じる今日この頃です。
ナツメの使い方は、また次回に。
今年も、お付き合いありがとうございました。
皆さま、どうぞ~良いお年をお迎えくださいねヽ(^o^)丿