夏の養生
夏は、立夏(5/5頃)から立秋(8/7頃)までの3ヶ月をいいます。
また、立秋前日の18日間が夏の土用期間です。
夏は、「陽氣旺盛」という言葉がピッタリ。日差しが強くなり氣温も上がり陽氣も最も盛んです。
梅雨で潤いを含んだ自然界はぐんぐん成長する季節です。
◆「夏」の特徴とともなう症状。
「夏」の主氣は「暑」。 五行の火に属し、五臓の「心」に通じる。陽邪。
・炎熱(えんねつ)(焼けるように熱い)の性質をもつ。
・上昇、発散の性質をもち、津液を傷り、氣を消耗する。
・皮毛や毛穴を開き、津液を消耗させて身体が熱くなる。
(顔の赤み・多汗・のどの渇き・濃い色の尿・尿少・脈が速い、舌が赤いなどの症状がみられる。)
・激しく蒸発すると脱水症状をともない、突然昏迷し意識不明に陥る。
(息切れ、脱力、夏バテ、熱射病などの症状。)
・高温多湿により、暑邪が湿邪と一緒に侵入することが多い。
・息切れ・夏バテ・食欲不振・疲れ・無気力・四肢のだるさ・吐き気・下痢などの症状。
(脾胃のはたらきの低下など。「湿邪」参照)
◆火(か)(熱)邪の特性と症状
火邪は陽邪。熱邪が強すぎると火邪になる。
五行の火に属し、心に通じる。
・蒸発・炎上の性質をもつ。(熱く燃え上がる)
(高熱・口渇・発汗など。頭や顔面に熱が上がり、化膿症、口内炎、頭痛などの症状)
・「心」の神志を司るはたらきを乱す。精神状態を乱す。
(イライラして落ち着かない、興奮して眠れない、うわごとなどの精神や意識障害を与える。)
・火は氣・津液を焼き尽くす!最も津液を消耗させる。
(口渇・赤い尿・便秘・息切れ・だるい・無力)
・火熱は風を生み、血を動かす。
(高熱からの熱性けいれん、ひきつけなどの症状。火熱は血を動かして出血を促進する。入浴時、興奮時の鼻血が特徴的。吐血・喀血・血尿・血便など出血)
・火熱は、はれもの(腫瘍)をつくりやすい。
(火邪が血に侵入し、血や筋肉に腐食するのでニキビ・吹き出物などの皮膚炎症が現れる。)
◆身体の変化
夏は心の働きが旺盛になります。顔が赤くなり身体が熱くなり、汗が出て多汗により津液が不足になり血流に影響します。心拍数が早くなると不眠にも。
◆夏の薬膳の方針
・「苦味」が夏の主味。苦味によって熱(内外)を冷まし暑さを体外へ出す。(量は加減する)
苦瓜・銀杏・ごぼう・ピーマン・菊花・みょうが・大根の葉・クチナシ・セロリ・アロエ・蓮の葉・ハブ茶・板藍根・お茶など。
・清熱。熱を取り除き、夏の暑さから身体を守る。
夏野菜:ナス・レタス・空芯菜・トマト・胡瓜・ごぼうなど。葛きり・豆腐など
・酸味を取る。「酸甘化陰」 陰液を補い、渇きを緩和する。収斂作用が汗のかきすぎを防ぐ。
梅・レモン・グレープフルーツ・酢・すもも・キウイフルーツ・みかん・山査子など
・鹹味を取る。心氣を補養する。汗で消耗したミネラルを補う。
塩・昆布・海藻・のり・干物・いわし・シジミ・じゃこ・ワカメ・もずく・あさり・醤油・味噌など
・補氣する。発汗などで消耗した氣力を補う。
穀物、雑穀、豆類、芋類など。
・養心安神(心氣を養い、心穏やかにする)小麦・ナツメ・蓮の実・卵など
・淡味をとる。夏の湿氣取り。
瓜類:冬瓜・胡瓜・西瓜など。豆類:緑豆・小豆・黒豆など
潤肺:梨・イチジク・ミカン・百合根・キクラゲ・牛乳・豆乳・杏仁・クルミ・松の実・はちみつなど
◆養生
夏は上記の六淫によって氣を消耗します。スポーツや激しい運動は控え、お昼寝もオススメです。
夏の暑邪は「心」を傷めやすいので、食養生は「心」の氣を整えるとともに、津液を補い健脾にも注意が必要です。スープやお粥などを上手に活用して元氣を補いましょう。