お花見はされましたか?
お花見といえば『桜』をさしますが、奈良時代の前には大陸の影響が強く『梅』をさしていたそうです。
平安時代になると『桜』となり酒を片手に花を愛で、歌を詠んだ宴は、庶民に広まったのが江戸時代。
徳川家光公が奈良の吉野山から上野に桜を移植したり、
江戸の都市開発の一環に、吉宗公が隅田川に桜を植えてくれたおかげで
私たちはお花見を楽しむことができますね~♪
花見みは儀式だった?!
春になると山の神が里へ降りてきて、いのちを吹き込むことから、
山の神に酒などを供え、豊作を祈った儀式が花見の始まりといわれます。
桜の季節になると、田畑の仕事も本格的に始まりますが、
一説によると桜の語源は、サク(稲の神)ラ(座る)の意味があり、
開花と同時にその年が豊作かどうか?も氣にしていたようです。
そんな神霊が宿る桜ですが、かつては桜が散るとその力が低下し、
花びらにのって疫病が飛び散って人々を悩ませると信じられていました。
開花を『生』とするならば、散りゆく様は『死』を連想させるため、寂しさや悲しさを感じてしまうこともありますね。
その心の隙間に邪鬼が侵入し病になる。。。と考えたのかもしれません。
確かに『病は氣から、氣は心から、心は魂から』といいます。
悲しみなどの感情は重要な心の声でもありますが、過剰だったり持続すると身体には毒。
病となる原因のひとつで『悲しみが過ぎると、肺を傷め、氣を消す』といわれています。
花にまつわる、ふたつの祭
大きく分けると献花祭と鎮花祭のふたつ。
献花祭は、厳しい寒さを越え訪れた春を悦び、花を供えて神々に感謝する華やかな祭。
鎮花祭(はなしずめまつり)は、
桜の散りゆく頃に流行る疫病や邪鬼を祓うための祭祀で、全国各地で行われているそうです。
特に有名なのが、毎年4月18日に行われる奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)と狭井神社の鎮花祭。
忍冬(にんどう)や百合根といった薬草が供えられたり、
奈良、大阪、京都などの医薬業者が参拝に集まり医薬品の奉納もあることから、
別名『薬まつり』ともいわれるそうです。
http://oomiwa.or.jp/saiten/04-chinkasai/?sy=2019
飛鳥時代の法律書、大宝律令(701年)に国家の祭祀として定められていた、ということなのでその歴史は古く、
桜の散る頃に何かしら身体に変化があると、予測もしていたということでしょうか?!
確かに4月18日頃は、春の土用期間。
土用明けの立夏にむけて、天候も土壌も変化し、季節の変わり目といわれます。
身体ともリンクしていて、脾胃(消化器系)のはたらきが低下したり
疲れやすかったり、カゼや肌荒れなどがあったりと。なにかと体調が優れない時期です。
そのへんも加味している鎮花祭のかもしれません。
忍冬と百合根
まだ寒い早春に咲くので忍冬といい、スイカズラの別名です。
乾燥した葉茎を忍冬。花は、白と黄色の二色が咲き金銀花(きんぎんか)と呼び、
清熱解毒作用があるので発熱や喉や皮膚炎や膀胱炎やニキビ、オデキなどの化膿性のトラブルに用いられます。
百合根は百合(びゃくごう)という生薬で、肺などに潤いを与え咳止めや喉の痛みの解消や
また、精神的に高ぶった心を鎮めて穏やかにするはたらきがあります。
実は、桜花も桜の樹皮も生薬。
桜花は、熱を冷ますはたらきと、痰や鼻水などの体内にある余分な湿氣を取り去るはたらきがあります。
樹皮は、桜皮(おうひ)といい桜花と同じような効能もありますが、
どちらかというと咳と蕁麻疹にきく!といわれ、湿疹や蕁麻疹、オデキなどの皮膚病に用いられます。
漢方では似類補類(にるいほるい)という考え方があるので皮には皮がきくということですね。
大神神社の処方。鎮花薬(はなしずみくすり)
医心方よりも古い文献、大同類聚方。
全国の神社にあった処方を集めた和方集らしいのですが、鎮花薬が載っているそうです。
春の桜の散る頃に流行る病の予防と邪鬼祓いに
- 桜の樹の皮と花びらを集めて煎じた液を薬にする。
自然界は、春から夏へと陽氣がますます盛んになります。
私たちも自然界の影響を受けているため、季節にあわせた食事や生活、運動、心の持ち方といった養生が大切ですね。
そして、季節ごとに起こりやすい病には、傍らにいてくれる旬の草花たちが癒す力を備えている。。。
どうぞ、道端や身の回りの自然に目を向けてみてください。
自然界は上手くできてますね。
似類補類についてはこちら↓
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