梅雨の養生

 

中国の黄河流域では、立秋の前後によく雨が降る季節があり、五行説の五季では「長夏」とします。五臓では、気血生化の源である「脾」を養う季節。

日本では新緑の五月晴れが過ぎると、やがて梅の実が熟し、梅雨の季節になります。

夏至の前後それぞれ二十日ずつに雨がよく降る梅雨があり、「長夏」の養生理論を日本の梅雨の薬膳に活かすことができます。長夏=梅雨ではありませんが、多湿の季節を快適に過ごすための教えがたくさんあります。

◆「長夏」の特徴  「長夏」の主氣は「湿」

雨が多く、ジメジメとし、湿度が高い時期。

体内の正氣が低下していると、「湿邪」として人体に様々な影響を与えます。

湿邪は、『外湿』と『内湿』があります。

湿邪は陰邪。陽である氣を傷め、氣の巡りを停滞させます。

①外湿:湿氣の多い環境での生活や仕事などから、身体の外部から湿邪が侵入したため発病する。

②内湿:脾胃の働きが低下し、飲食物から得た水液を運べない(消化しない)ために、体内に水湿が停滞した病理状態をいう。*脾虚による水液代謝の低下。

◆湿邪の性質  湿は陰邪、重濁(じゅうだく)性、粘滞(ねんたい)性

・湿は、重い水の性質をもつので、身体の下部に影響し、重だるい感があります。​

​舌にべっとり苔がある、など排泄物や分泌液に「濁り、粘る」がみえます。

また、粘滞性は病の経過が長いことを指し、他の邪気と一緒になるとアトピー性皮膚炎などのように治療が長期化することもあります。

②湿は水の流れのように低いところへ向かうので、身体の下部を侵しやすい。

下半身のむくみ、下痢、帯下、水虫、小便不利などの症状がみられます。

③体内の氣の働きを阻害(湿は停滞しやすい)し、脾胃の陽氣を損傷する⇒

『脾は燥を好み、湿を嫌う』 食欲低下、腹部のつかえ感、嘔吐、胸悶、手足のむくみ、だるさも脾の運化失調による。

◆身体の変化

梅雨の季節消化系である脾胃の活動が活発になります。

蒸暑い日々などで、冷たいもの・なま物・水分を多く取るため、脾胃の疲れも現れやすくなります。脾は湿を嫌うため働きが悪くなり、水液の代謝が低下します。食欲不振、胃のもたれ、疲れやすさ、無気力などが現れ、浮腫、下痢がみられます。

◆梅雨の薬膳の方針

1、外湿には、「芳香化湿(ほうこうかしつ)」(香りにより湿を散す)と「解表類」の食材を使う。

芳香化湿:柑橘類、陳皮、柚子の皮、紫蘇、三つ葉、香菜、薄荷、ジャスミンなど。

解表類 :生姜、ネギ、紫蘇、香菜、ミョウガ、シナモン、薄荷、菊花、桑葉、葛根など。

寒湿 ⇒辛温解表(菊花、薄荷、葛)

湿熱 ⇒辛涼解表(生姜、ネギ、紫蘇、シナモン、香菜)を使い分けること。

2、内湿には、脾虚がみられるので必ず、健脾+利水、

健脾化湿 :はと麦、大豆、枝豆、インゲン豆、空豆、とうもろこし、鱧、鯛

とうもろこしの髭、白魚など

利水・利尿:小豆、緑豆、きゅうり、冬瓜、白瓜、西瓜、芹、セロリ、クレソン、レタス、アスパラ、モヤシ、ナス、たけのこ、トマト、白菜、大根、ハマグリ、あさり、しじみ、鮭、牡蠣、昆布、わかめ、海苔、鯉、金針菜、蓮の葉、ぶどう、キウイ、マンゴー、ココナッツなど

3、清熱解毒:苦味、涼性のもので熱を取り、湿を排出する。

セロリ、苦瓜、きゅうり、緑豆、豆腐、金針菜、しじみ、ハマグリ、茶

◆養生

・冷たいもの、水分を取りすぎない。胃や身体を冷やさない(薬味を使う)

・喉が渇いたら、常温や温かいものをゆっくり飲む。

・自分にあう適度な量を食べ、よく噛む。調理法を工夫する。

・殺菌が繁殖する時期。肌ケアや食などの衛生面に注意する。(香味野菜は殺菌作用がある)

・柑橘系などで理氣させ、心、身体を整える。

・ストレッチや階段の上り下りなどでジワジワ汗をかく。動くことで、水分代謝を上げる

・シャワーだけで済ませず、入浴する。

・濡れた肌や洗髪は、早めに乾かす。

・布団を干し、部屋の通氣をよくする。